どうしても今度の土曜日は休みを取りたい私は残業を続けていた。
仕事はいくつも抱えているが、どうしても今日中にまとめてしまいたいことを何とか終えることができたので、仕事を切り上げることにした。
時計を見ると、長針と短針がぴったり重なっている。
「一日終わっちゃったな」
そう思っていると・・・・・・
頭上に取り付けられたスピーカーから懐かしいメロディーが。
ジェットストリーム
何年ぶりに聞いただろう。
昔、中学生とか高校生の頃、日付の変わる1分前に勉強の手を止め、ラジオのスウィッチをオンしていた。
ラジオから流れる、まだ知らない「大人」の世界に憧れるようにして、番組を聴いていたように思う。
そしていつも、サン=テグチュペリの描く、夜空を飛ぶ孤高の飛行士をイメージし、少し厳粛な気持ちになりながら、でもベッドに仰向けに寝転がり耳を傾けた。
「ジェットストリーム、今もやってるんですね」
やはり残業していた8つほど年の離れた先輩社員に話しかけた。
私が聴いていた当時でさえ、だいぶ長く続いていた番組だ。
「ほんとだね。城達也、だっけ?」
そうだ。あの頃、今は亡き城達也氏がナレーションをしていた。
懐かしい気持ちを抱えながら、車も少なくなった道を駅に向かって歩く。
駅前には、終電後の客を狙ったタクシーの長い列ができている。
小さな公園では、猫たちが我が物顔で闊歩しているのが可愛らしい。
1時前には家に着くことができ、今日のシャワータイムのCDを何にしようか考える。
松山千春ベストは人にあげてしまった。
なんとなくインストが聴きたくて、去年買ったジェイク島袋をセットする。
2,3曲目あたりの、ビーチムード漂う曲が好きだ。
南の島のちょっと切ない夕暮れなどを想像しながら、やっぱり今日もビールを飲もう、と考える。
短くなった髪の洗い心地が指に新鮮だ。
感覚的なものって、文字などの記憶よりずっと体に残っている。
香り、音楽、感触・・・。
ガラにもなくちょっとセンチメンタルな本日の私は、やっぱりパソコンの前でビールを舐めながら、この日記を綴っているのでした。
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